大成建設(株)と風力発電機の開発を行なう(株)チャレナジーは23日、三井不動産(株)の協力のもと、超高層ビル屋上においては国内初となる、垂直軸型サボニウス式風車による、風力発電の実証実験に着手すると発表。2025年4月より開始する。
太陽光発電の普及が進んでいるが、それ以外の再生可能エネルギーとして風力発電の活用にも注目が集まっている。一方で、従来の水平軸型プロペラ式風車には、風切り音や発電モーターの振動の問題に加え、広い設置面積が必要なことや、風速や風向きが安定しないと効率的に発電できない等の課題があった。
こうした問題に対応するため、3社は垂直軸で回転する構造のサボニウス式風車実証機を「横浜三井ビルディンク」(横浜市西区)の屋上に設置。超高層ビルにおいて国内初となる風力発電の実証実験を実施する。
サボニウス式風車は、太陽光発電装置やプロペラ式風車と比較し、設置に必要な面積が小さく、装置本体を3立方メートル程度の限られたスペースに設置できる。また、風向きの変化や弱風にも対応し、全方位から風を受けて、24時間連続して発電でき、悪天候時にも風車を適切に制御することで継続して発電できる。さらに低騒音・低振動でバードストライクも回避できるなどの特長がある。
実証実験では、風量や発電量などの取得データをさらなる技術発展に生かすとともに、設置時の課題や要件を明確化。3社は新たな創エネルギー技術としてサボニウス式風車の技術開発を通じて市街地での建物のZEB化、災害時のBCP対応等に貢献していく考え。