国土交通省と経済産業省は29日、住宅・建築物におけるカーボンニュートラルの実現に向けた対策の推進を図るため、2省合同会議を開催した。
国土交通省の「社会資本整備審議会 建築分科会 建築環境部会 建築物エネルギー消費性能基準等小委員会」と、経済産業省の「総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会 省エネルギー小委員会 建築物エネルギー消費性能基準等ワーキンググループ」による20回目の合同会議。今回は、住宅トップランナー基準の見直しにおける、太陽光発電設備の設置目標について検討した。
事務局が、住宅トップランナー基準の見直し案を発表。従来目標では、太陽光発電設備については「2030年までに新築戸建住宅の6割に設置」とされているが、22年度の設置率は31.4%にとどまっている。また、住宅トップランナー事業者の太陽光発電設備設置率は、建売戸建住宅で8.0%、注文戸建住宅で58.4%であると現状を整理した。
今後の目標を検討する上では、効率的な太陽光発電の設置が難しいと考えられる都市部狭小地や、落雷に対する安全性の配慮等が必要な多雪地域を除くなど、地域性や敷地の条件を考慮すべきと言及。その上で、27年の目標を「設置が合理的な住戸のうち、建売戸建住宅では37.5%、注文戸建住宅では87.5%に太陽光発電設備を設置」と提案した。
これに対し、委員からは「熱波、集中豪雨、地震、パンデミックなどマルチハザードの対応に向け再エネの推進は重要となる。今回のトップランナー基準の議題には含まれないかもしれないが、将来的には蓄電池に関しても検討を進めていきたいと考えている」「目標値の設定はおおむね適切。ただし、住宅への設置義務化を行なう以上、他のアセットに対する義務化も行なわなければ、国民は納得しないだろう。まずは公共施設に徹底して設置するといったことも検討してほしい」「現在設置率が低い建売住宅で高い目標を置くのは、事業者、個人にとって大きな負担がかかる。継続的な補助のあり方も検討してほしい」などの意見が挙がった。
オブザーバーからは「30年の目標6割に対し、今回示された目標は納得感があると捉えている。建売戸建住宅の目標は必要な水準だが、これまで以上に販売事業者の取り組みを強化しなければいけないと考えた。設置困難な住戸というのは事業者側で判断がしづらいので、具体的に示していただきたい」といった声もあった。
同提案について承認が下りたため、今後は年内にパブリックコメントを実施。25年春頃に公布・施行となる予定。