積水化学工業(株)は12日、メディア向けの事業説明会を開き、代表取締役社長の加藤敬太氏および住宅、環境・ライフライン、高機能プラスチックスの3カンパニープレジデントらが今後の方針等について語った。
加藤氏は同社が創業以来、製品・事業による社会課題解決への貢献を大きなテーマとして発展してきたことに言及。近年でも、世界初のフィルム型ペロブスカイト太陽電池による高層ビル・メガソーラー計画を発表するなど、イノベーションを続けてきた。今後についても、気象災害の激甚化、資源・エネルギー問題など、社会の持続可能性を阻害する課題や、快適で便利な生活・人生100年時代へのニーズなど、新たな社会課題に対しても技術力で対応していくとした。「当社は住宅、エネルギー、モビリティ、メディカルなど幅広い分野で事業展開している。これらがそれぞれ連携してイノベーションを起こし、社会課題を解決する製品を社会に実装していく」(加藤氏)。
同社では、社会課題解決に高いレベルで貢献する製品を「サスティナブル貢献製品」と位置付けて販売を強化。住宅関連では、HEMS「スマートハイムナビ」を搭載した戸建住宅仕様「おひさまハイム」や、分譲地等へ埋設されている雨水貯留システム「クロスウェーブ」等がそれに当たる。同製品の2023年度売上高は9,502億円、前年度よりも400億円強増加。25年度の売上高目標1兆円のクリアも目前に見据えている。
住宅カンパニーに関しては、同カンパニープレジデントの吉田匡秀氏が説明。24年上期は住宅の売り上げ棟数が減少したことで減収したものの、リフォーム・不動産といったストック事業の拡大によって増益。下期以降に向けては、ストック事業やまちづくり事業の拡大によって通期では増収増益を目指すとした。
今後の目標は26年度の営業利益400億円。新築住宅事業では、エリア別の商品戦略を実行し、高価格帯から中・低価格帯まで幅広く強化して中長期的な売り上げ棟数の維持・シェアアップを目指す。リフォームでは自社施工物件だけではなく、他社施工物件の受注も強化。不動産事業では、賃貸管理戸数の増大を中心に、顧客接点の強化や非管理物件の取り込みを図っていくほか、買取再販の「Beハイム」の事業拡大等を図っていく。「今後、各事業を強化していくことで、工業化住宅技術を核とした住宅総合建設・不動産業として飛躍したい」(吉田氏)。