東日本旅客鉄道(株)(JR東日本)と松竹(株)は18日、10年間の包括的業務提携契約を締結した。JR東日本の地域に根差した重層的ネットワークと、松竹の文化伝統芸能等のコンテンツを掛け合わせ、エンタテインメントコンテンツによる都市圏と地方圏との交流人口の拡大、JR東日本が進める「広域品川圏」におけるナイトタイムエコノミーマーケットの拡大などを図る。
包括提携は(1)観光素材や文化・エンタテイメントコンテンツの創出による都市部と地方との交流人口拡大、(2)エンタメの力とデジタル技術を連携した新たなアプローチによる心と体の健康増進づくり、(3)両社の施設が近接する「高輪」「浜松町・竹芝」「東銀座」エリア一帯でのナイトタイムエコノミーの提案、が柱。
(1)では、デジタル技術を活用し、新幹線等の車内で旅行先の関連コンテンツが楽しめる「デジタルエンタメトレイン」の運行や、地域性のある歌舞伎演目やアニメコンテンツによる「地域の聖地化」に取り組む。(2)では、浜松町・竹芝・東銀座エリアで、JR東日本の移動データと松竹のエンタメコンテンツ、新たな「身体・感情データ」を組み合わせ、健康増進に資する「街歩きプラン」を提案する。(3)では地域の自然や文化施設・史跡、水上交通を生かし、文化的に豊かな「夜時間の過ごし方」を提案していく。
JR東日本が開発を進めている「TAKANAWA GATEWAY CITY」でも、ビジネス創造施設「TAKANAWA GATEWAY Link Scholars’ Hub(LiSH)」や複合文化施設「MoN Takanawa: The Museum of Narratives」での協業を通じ、両グループの取り組みを加速する。松竹は、グループ会社の松竹ベンチャーズ(株)を中心とした部隊が「TAKANAWA GATEWAY CITY」のオフィス「THE LINKPILLAR 1」に入居。JR東日本との協業の舞台としていく。これら一連の取り組みについては、2025年度から順次開始していく方針。
同日会見したJR東日本代表取締役社長の喜㔟陽一氏は「両社ならではの強みを生かし、これまでにないライフ・バリューを創造する。デジタル技術を活用し“文化の力”をアップデートし、心豊かで活力ある社会の実現を目指す。若い人たちを中心に、伝統芸能を未来へとつなげ、交流人口を増やしていく」などと抱負を語った。
また松竹代表取締役社長社長執行役員の?橋敏弘氏は「高輪であればすぐ近くの泉岳寺ゆかりの忠臣蔵が、青森であればねぶたといった具合に、各地域の歴史を取り入れた歌舞伎演目などを通じ、地方創生と歌舞伎文化の活性化を目指したい」などと語った。