三井デザインテック(株)は3日、綱町三井倶楽部(東京都港区)で、プレス向けセミナーを開催した。
冒頭、同社代表取締役社長の村元祐介氏は、「当社は空間創造を手掛ける会社だが、ステートメントの“Design Everything”にもあるように、表面的な意匠だけではない、物事を根本的に捉え直すことをデザインの対象としている。幅広い領域で培った知見や実績を掛け合わせたデザイン力、すなわち事業領域を超えた“クロスオーバーデザイン”を強みに、今後とも豊かな暮らしと魅力ある社会づくりに貢献していきたい」と挨拶。
セミナーではまず、同社フェローの見月伸一氏が、住宅・リフォーム・オフィス・ホテル分野などにおいて、クロスオーバーデザイン(異なる空間要素の融合が新たな価値を生み出す)を用いた事例を紹介。「今後も物理空間を超えたデザインにより、Well-BeingやSustainabilityを見据えた未来の暮らしの価値を創造していく」と話した。
引き続き、資源循環を専門領域とする(株)モノファクトリー常務取締役の三上勇介氏を招き、三井デザインテック クリエイティブデザインセンター長の堀内健人氏、同社デザインディレクターの田中映子氏が、「サーキュラーデザインの現在と未来」をテーマにパネルディスカッションを実施。
堀内氏は「これまでの“環境型”に加え、“資源循環”も考慮した『サーキュラーデザイン』がこれからのデザイン領域になる」と言及。なぜ「循環」が必要なのかについて、「脱炭素化の実現」「製造業としての社会的責任」「投資家や消費者の価値観の変化」といった要素を挙げた。
田中氏は、サーキュラーなプロトタイプ家具の実証実験について言及。循環型家具を考えたプロセスを説明しながら、ペットボトルを使った循環型家具を紹介した。また、堀内氏はサーキュラーデザイン(CD)構想について「循環までを考えたデザインとして、CO2の削減のみならず、循環のしやすさに配慮した設計・施工・制作サービスを提供していく」とし、「25年度内にCD家具サービスを、26年度内にCDインテリアサービスをスタートさせ、30年にはCDデザインが浸透しスタンダードになっていると予測する」と今後の目標を述べ、締めくくった。