野村不動産グループは4日、新宿野村ビル(東京都新宿区)で記者懇談会を開催した。
冒頭、野村不動産ホールディングス(株)代表取締役社長兼社長執行役員グループCEOの新井 聡氏が、中長期経営計画の進捗状況について説明。「2025年3月期の事業利益は、目標としていた1,150億円を超える1,180億円の見込み。住宅・都市開発部門では、将来の事業の“種”、いわゆる用地の取得も順調に進んでおり、この3年間はビジネス拡大を含め堅調に推移した」と言及。予想通りに進捗しなかった海外・資産運用部門についても、「すでに課題を明確にしており、解決に向け対応しているところ」と話した。
外部環境の認識については、「この3年間、われわれを取り巻く環境は大きく変化している」とし、グローバルでは「地政学リスクの高まり」「中国経済の不振」「トランプ大統領の再選」を挙げた。国内では、負の影響として「建築費の上昇」「労働力不足による事業の長期化リスク」「金利の上昇」を提示したが、「負の影響ばかりではなく、長期のデフレから脱却したことでインフレが定着。賃金の上昇傾向が見られる」ことにも言及。株式市場で過去最高値を記録、富裕層の資産が大幅増となっていることや、個人の金融資産が2,200兆円になっていることにも触れた。
「このような環境下で、今までと同じことを続けていては成長は望めない。危機感を持ち、新たな発想での取り組みが必要な時代になっている」(新井氏)。
また、同社グループの2030年ビジョン「まだ見ぬ、Life&Time Developerへ」を挙げ、「外部環境の大きな変化の中、われわれ自身がこれまでの発想を離れ、進化する必要がある。従来型のディベロッパーではなく、本当の意味で“Life&Time Developer”にならなくてはいけない」と意気込みを語った。
最後に、25年8月、同社グループ本社を芝浦へ移転することに触れ、「移転をきっかけに進化のスピードを加速させていく。新たな環境でステークホルダーに対し、どうしたら今以上の幸せや豊かさを提供できるのかを懸命に考えながら取り組んでいく」と締めくくった。