(株)野村総合研究所は4日、「働き方と移住」に関するアンケート調査結果を発表した。7月26〜30日に、東京都内に勤務する20〜60歳代の男女を対象に、インターネットアンケート調査を実施。有効回答数は3,091人。
7月時点の出社頻度を尋ねたところ、「週3日以上」が73.8%を占め、前回調査時(2023年7月、75.1%)から微減した。就業者に「勤務先においてどの程度の出社頻度がルール化されているか」を尋ねたところ、「週3日以上」が72.6%となり、7月時点の「週3日以上」の出社割合とおおむね一致。同社は、この傾向が続けば、「週3日以上の出社」がアフターコロナのスタンダードとして定着していくと見込んでいる。ただし、前回調査時と比較して「毎日出社」の割合は53.1%から47.4%に減少。「週3日出社」「週4日出社」の割合が増加していることから、コロナ前と比較して柔軟な働き方も一定程度許容されつつあるとしている。
郊外・地方への転居意向については、「直近1年以内」に転居意向がある人が全体の13.7%(前回調査時15.3%)、「直近5年以内」が全体の27.4%(同28.4%)と減少。「直近5年以内」に転居意向がある人に対する「転居する際の住まい選びで重視する項目(上位3つ)」では、コロナ禍の最中では低下していた「都心・職場との距離」「駅との距離」の重要度がコロナ前と同水準にまで回復した。一方、「住居費」「間取り・広さ」の重要度は低下。同社は、「住居費や間取りを多少妥協してでも立地の良い場所に住みたい」という価値観に変化したと推察している。
日本国内の東京都区部以外の地域の中で、過去から現在における血縁・地縁(実家や過去の通勤・通学地等)のある地域を除き、私的に愛着を持っている地域について尋ねたところ、51.3%が「愛着を持つ地域がある」と回答。愛着を持ったきっかけは、「たまたま、なんとなく」を除くと「過去の受動的な訪問」(18.9%)、「ふるさと納税」(16.2%)が上位に入る結果となった。
今後は出社頻度が大きく減少することは見込みづらく、かつ住まい選びの際に重視するポイントもコロナ前に戻りつつあることから、コロナ禍で発生した郊外・地方移住ブームは一時的なものとして終焉する可能性が高いと同社は推察。交流・関係人口の増加による地域活性化、ひいては将来的な移住に向けては、生活者に地域への愛着を持ってもらい、訪問や継続的な関係構築を促すことが重要だとしている。