国土交通省は13日、6回目となる「家賃債務保証業者会議」をオンライン形式で開いた。
冒頭、国土交通省住宅局安心居住推進課課長の津曲共和氏が挨拶。「現在、賃貸借契約を締結するに当たり、8割以上が家賃保証を契約の条件としている。住まいを確保する際に欠かせないものとなり、家賃債務保証の役割は年々大きくなっている。ユーザーが安心して利用し続けていくために、事業者側で適正な事業運営を行ない、財務の健全性を確保していただきたい」と話した。
引き続き、同省が「改正住宅セーフティネット制度」の概要について説明。大家と住宅確保要配慮者(以下、「要配慮者」)の双方が安心して利用できる市場環境の整備として、(1)“賃貸借契約が相続されない”仕組みの推進、(2)“残置物処理に困らない”仕組みの普及、(3)“家賃の滞納に困らない”仕組みの創設、(4)“入居後の変化やトラブルに対応できる”住宅の創設、を挙げた。(3)では、要配慮者が利用しやすい家賃債務保証業者を国土交通大臣が認定する制度(認定家賃債務保証業者制度)を創設。(独)住宅金融支援機構の家賃債務保証保険により、認定家賃債務保証業者の要配慮者への保証リスクを低減するとした。また、(4)の「居住サポート住宅」については、改修費、家賃低廉化、家賃債務保証料等低廉化、および住み替えに係る支援を創設するなど、住宅セーフティネット機能の強化を図っていく。
続いて、(公財)日本賃貸住宅管理協会の家賃債務保証事業者協議会(会員91社)が、現在までの取り組みや今後の展望について発表。同協議会が独自に定めた「自主ルール」では、深夜早朝の督促行為の禁止、物件立ち入りの制限、明渡完了前の動産搬出の制限等を定めているとし、会員が違反した場合は、違反の度合いに応じた処分を行なっているとした。また、保証委託契約書については4年に1度チェックを行なっており、2023年度に実施。「会員に対しては引き続き、自主ルールを遵守した適正な業務の推進を図る。また、会員外に対しても、協議会に参画して自主ルールを遵守することのメリットを普及・啓発していく」とした。
家賃債務保証業者登録制度の登録事業者によるパネルディスカッションも実施。アーク(株)取締役の佐藤哲也氏、ナップ賃貸保証(株)常務取締役の田邊裕典氏、(株)レキオス事業本部長の下地雅美氏をパネリストに、津曲氏をコーディネーターとして意見交換を行なった。3社が、要配慮者の入居を支援するサービス、居住支援法人との提携、孤独死・無断退去時の対応等について説明。「死亡後の契約解除、残置物撤去・原状回復費に関する付帯サービスに対する関心が高い」「オーナーのさらなる理解を得て、居住サポート住宅の拡大に貢献したい」といった意見が挙がった。
また、25年10月からスタートする「認定家賃債務保証業者制度」については、「居住サポート住宅に入居する要配慮者の家賃債務保証を原則断らないとされているが、精神的な障がいを持つ方、迷惑行為を繰り返す方などの場合は不安がある」「すべての要配慮者の保証に対し、(独)住宅金融支援機構による保険が利用可能とあるが、悪用されるケースがあるため、認定を出す際の要件はしっかりと決めていただきたい」といったコメントが聞かれた。