業界関連ニュース

不動産の引取サービス、専門事業者が見解を公表

2025.03.06
業界関連

 2月14日に開催された国土交通省の社会資本整備審議会産業分科会不動産部会での議論を受け、不動産の「引取サービス」が注目されている。そうした中、放置された山林や別荘地といった一般的な不動産会社が取り扱いにくい不動産を専門的に取り扱っている(株)KLC(東京都港区、代表取締役:小林弘典氏)が見解を4日に発表した。


 不動産の「引取サービス」とは、不動産の所有者が金銭を支払い、事業者が当該不動産を引き取るもので、宅建業法等による規制が及ばないケースも想定される。国交省においては、「契約に基づいて金銭を支払っても事業者が所有権移転登記を行なわない」「市場価格で売却可能にもかかわらず、引取サービスに回される」「引取後の事業者の適正な管理が確保されるか」といった懸念を指摘。参加した有識者からは「国の相続土地国庫帰属制度を補填するものなら有用だが、懸念はある」など、メリットはあるがトラブルの防止策を練る必要があるというコメントが上がった。実際に、詐欺的な金銭搾取によるトラブルが発生していると言われている。


 見解を公表したKLCは、2018年に不動産引取サービス事業をスタートし、これまでに累計4,000件以上の相談に対応してきた。同社では引取サービスについて「売却が困難な不動産を所有する方々に対して円滑な処分の機会を提供する重要な役割を担っている」としたが、同部会の議論を受けて、取引の安全性確保や適正価格での取引機会確保、引取後の不動産の適正管理の確保といった点で慎重な対応が求められるとした。


 その上で、同社では(1)取引の安全性確保、(2)適正価格での取引機会の確保、(3)引取後の不動産の適正な管理、(4)協議会設立による引取サービスの安全性担保、といった4点を重視して事業運営していくことを打ち出した。


 (1)では、契約締結前の十分な説明や、所有権移転登記を司法書士に依頼するなどといった対応で契約後のトラブルを防止。(2)については、顧客の不動産の適正価格や売却難易度を十分検討し、提案額の算出根拠や内訳を詳細に明示することを徹底。社内ルールにおいても顧客に早期契約を迫るような営業行為を禁じている。(3)に関しては、取引したすべての不動産について管理の必要性やその内容を把握すると共に、必要に応じて地域の事業者や専門事業者と連携していくとする。 


 (4)について、同社と(株)EINZ(東京都渋谷区)、(株)AlbaLink(同江東区)、LandIssues(株)(同千代田区)の4社で「不動産有料取引協議会」を23年に設立。代表理事にはKLC代表取締役の小林氏が就任している。同協議会では、引取サービスを提供する事業者に自主規制と行動指針を策定して公表している。


 同社では、引取サービスを適正に運営することで、空き家問題や所有者不明土地問題に解決にも貢献できるとして、今後も同サービスの健全な発展に寄与していきたいとした。


関連ニュース:「引取」「リースバック」トラブル防止へ(2025年2月14日)

出典:最新不動産ニュースサイト R.E.port ©1997 株式会社不動産流通研究所

一覧へ戻る