
森ビル(株)は20日、代表取締役社長に取締役常務執行役員の向後康弘(こうご・やすひろ)氏が就任する人事を決めた。15年ぶりのトップ交代。現社長の辻 慎吾氏は取締役会長となる。いずれも6月23日開催予定の定時株主総会およびその後の取締役会を経て正式決定する。
向後氏は、1968年生まれ。東京都出身。91年慶応義塾大学卒業後、森ビルに入社。六本木ヒルズ運営室タウンマネジメント室課長、タウンマネジメント事業部部長、経営企画部部長等を経て、2019年執行役員、24年常務執行役員を歴任。25年6月より現職。
同日開催した社長交代に関する記者会見で辻社長は「私が社長を引き継いだ11年は、リーマンショックの爪痕が色濃く残り、森ビルの経営も厳しい状況だった。さらに社長交代会見の3日後に東日本大震災に見舞われ、翌年には(前社長の)森稔氏が急逝するなど大きな支えを失った。厳しい経済環境の中で、財務体質の強化と莫大な先行投資を必要とする大規模再開発を推進するという、普通ならば両立しないものをどうやって両立させることができるか、日々苦悩し夜も眠れなかった」と振り返り「株主の支えや当社の役員・社員、様々なステークホルダーの方々や国内外のパートナーの協力で『麻布台ヒルズ』『虎ノ門ヒルズ』など様々なプロジェクトを完成させ、強固な財務基盤や利益創出力、森ビルの都市づくりのブランド力を向上させることができた。社員も成長した」とした。
社長交代については「常に頭の中にあり、2年ほど前から株主らと話し合いを重ねてきた」とし「麻布台ヒルズと虎ノ門ヒルズが開業して3年が経ち、思い描いてきた街らしくなった。次の大規模再開発プロジェクトも動き出した。次代を担うリーダークラスの人材も育ってきた。このタイミングで世代交代をすべきと考えた」と説明した。
一方、次期社長となる向後氏は「辻社長がこれまで育て上げてきた森ビルを受け継ぐという大役に、身の引き締まる思い。正式に社長就任を打診されたのは今年の4月。その責任の重さに即答はできなかったが、『森ビルの次の10年、20年のために、このタイミングで世代交代が必要だ』『森ビルらしさを将来に向けてつないでいってほしい』という想いを伝えられ、覚悟を決めた」と話した。
就任にあたっては「森ビルらしい都市づくりを追求し続けることを、最も大切にしたい。都市に真摯に向き合い、あるべき都市とは何かを考え続け、その実現に向け挑戦を続ける。それがわが社の魅力の源泉であり、最大の強み。このゆるぎない軸を引き継ぎ、森ビルらしく進んでいくことが、社会から必要とされる会社であり続けるために、経営をさらに強くしていくために重要だと考えている」と抱負を述べた。そのうえで「何よりも重要なのは人。社員一人一人の自由な発想や想像力、挑戦心をさらに発揮できるような組織や体制づくりを進める」とし「森ビルらしさを社員全員が一つのチームになって受け継ぎ、“都市をつくり、都市を育む仕事”を通じて社会に貢献し、東京ひいては日本の発展に微禄ながらも貢献したい」とした。